温泉巡りの醍醐味が詰まった「北温泉」初探訪記⑥2日目は北温泉宿泊編その4(天狗以外の温泉たち)

素っ裸で泳ぐ気持ちよさ

北温泉で最初に入湯する浴槽は天狗の湯と決めており、2015年11月20日17時にその目的は達成いたしました。18時ころから北温泉で初めての夕食です。北温泉で出される食事は、私にとって満足するものではありませんでした。だからと言って、元から食事に期待していたわけではなかったので、北温泉に対する私の価値観は決して1ミリも変わることはありません。一目見た時から北温泉の自炊場に憧れ、今では私は北温泉自炊場ユーザーになったのですが、決め手となったのは、北温泉で出される食事が口に合わないということでした。言い換えれば、北温泉の食事が口に合わなかったため、私は北温泉の自炊場という最高の癒しスポットに出会うことができたということになります。

さて、夕食をさっさと済ませ、19時ころにプール風呂の様子を伺いに行きました。チェックインした16時ころは、まだ半分ほどしか湯が張っていなかったのです。19時になると、さすがに外は真っ暗になり、冷え込みもきつく、肌を刺す寒さになっていました。プールの湯の張り具合はというと、見事に完全に溜まっています。原則、毎週金曜日がプール風呂の清掃日ということで、金曜日の宿泊客がプール風呂の一番出汁を味わえるということになります。この日の一番出汁は、恐らく私が味わったと思います。

プール風呂の周りには、うっすらとした明かりを灯した電灯が数か所と、隣接する「相の湯」という小屋の中にある浴槽から漏れる明かりがあるだけで、ほぼ暗闇の中で温泉に浸かります。秋も深まり、標高も高いため空気が澄んでおり、夜空には満天の星を眺めることができました。2019年5月に宿泊した時は、いくつかの流れ星を観察することもできました。

プール風呂に溜まっている湯は、間違いなく、源泉100%の温泉です。ただし、浴槽はプールそのものです。縦の長さは20mほど、横の長さも10メートルほどあると思います。これだけ広大なプール風呂を一人でゆったりと満喫していると、さすがに一人では持て余すとばかりに、何となく居てもたってもいられない気分になってきました。ということは、スイミングタイムの始まりです。縦20mほどを2往復、平泳ぎで泳ぎました。海パンを履かないスイミングって、本当に気持ちいいです。私の体から生えたなまこがゆらゆらするのです。病みつきになりそうです。

天狗の湯で、山肌から滴る源泉を満喫する。プール風呂で、時を持て余す故、泳ぐ。北温泉は本当に贅沢な時間を過ごせる温泉です。

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北温泉のプール風呂。暗闇の中での素っ裸のスイミングは格別です

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プール風呂に隣接する相の湯。プール風呂から上がって冷えた体を温めてくれます。更衣室も設置されています

プール風呂にパリピが!?

21時ころ、私が313号室の部屋で余韻に浸りながら休んでいると、外のプール風呂の水しぶきとともに、男女入り乱れての騒がしい声が聞こえてきました。男性2名、女性2名と推測されます。男性たちが女性たちを抱え上げてプール風呂に放り投げ、女性たちが黄色い悲鳴を上げてプール風呂にザブンという楽しそうな様子が目に浮かびます。私の313号室からは、プール風呂が見えるか見えないかの境目くらいのところにあり、部屋からはプール風呂で騒いでいるパリピな方々の姿を確認することはできませんでした。

夕食処では、パリピっぽい男女4人グループは見当たらなかったので、もしかしたら自炊をしていた男性のグループなのかもしれないと思い、その推測は見事に的中したことが後々判明するのであります。

家族風呂と打たせ湯

22時ころ、再度風呂巡りに部屋を出ました。案内図によると、天狗の湯から外に出て坂を上がったところに家族風呂と打たせ湯があるとのことでしたので、それらに入ることにしました。

天狗の湯で浴衣を脱ぎ、天狗右側の扉から外に出ます。

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奥の天狗の右にある扉から外に出ると、左に向かって坂になっています

 

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天狗の湯を出て、坂を上がると、まずは打たせ湯があり、その奥に家族風呂があります

坂を上がり、まずは家族風呂に入ることにしました。大変こじんまりしており、2名が限界だと思います。更衣スペースは設けられており、裸のまま、この坂を上る必要がないため女性も使用しやすいと思います。この日の私は当然裸でこの坂を上がりました。というか、これまで裸以外でこの坂を上がったことがありません。

次に、打たせ湯に移動し、打たせ湯をシャワー代わりに洗髪をしました。シャンプーリンスは持参です。私は、この打たせ湯を大のお気に入りとしています。勢いがちょうどよく、洗髪にも向いているし肩や背中に当てても気持ちいい水圧具合です。ただし、足場は片足幅50㎝ほどの板を敷いているのですが、この板を踏み外すとケガをする恐れがあります。底がくぼんでいるのです。大変暗いので注意が必要です。また、打たせ湯には更衣スペースがありません。女性には厳しい環境だと思います。良いものを持っているのに使い勝手が悪い。まさしく私が理想とする環境です。

打たせ湯の洗髪も終わり、いよいよ体が冷えてきました。打たせ湯といっても体全体は外気に晒されており、完全に冷え切っているのです。体を温めるべくさっさと天狗の湯に戻りました。

天狗の湯への扉を開けると、外気と室内の空気の温度差のためか、天狗の湯がものすごい湯けむりで覆われ、周りがほとんど見えない状態になりました。恐る恐る手探りで天狗の湯の湯舟を探り当て、足を入れようとしたところ、人の話し声が聞こえました。カップルなのかご夫婦なのかです。「体を温めたいので、すみませんがおじゃまします」とお詫びを入れ「どうぞどうぞご遠慮なく」と姿が見えない男性から返事をいただきました。冷え切った体に天狗の湯は容赦なく襲い掛かり、体がじんじんとし、血液が体中を駆け巡っていくのがわかります。私の体は生き返りました。寒い日の温泉って生命力を肌で感じます。