温泉巡りの醍醐味が詰まった「北温泉」初探訪記⑨3日目は北温泉チェックアウト編その1

根が真面目なのと下戸は人生を損します

初めての北温泉宿泊は、夜が明け朝を迎えました。昨夜は24時ごろから4時ころまでの約4時間、松の間321号室の2組のご夫婦の部屋にお邪魔し、料理をごちそうになったり色々と詮索されたりと、楽しいのか辛いのかよくわからない濃密な時間を過ごしました。結局一睡もできないまま夜が明け、2015年11月21日午前7時となりました。

昨夜、哀さん(哀川翔さんに似たガラの良くない男性)から、「明日の朝はプール風呂で集合写真撮るから、お前はカメラマンやれ!そのあとはお前も一緒に入って撮るぞ!」と言われており、私はクソ真面目な性格なので、その言葉を真に受け、松の間321号室へ写真撮影のお伺いを立てに渋々と様子を伺いに行きました。321号室は、扉が閉まっています。ノックをするのも憚られますので、一度、自分の部屋に戻りました。お茶をすすり30分後、再び321号室へ向かいました。まだ扉が閉まっています。

旅館の部屋の扉は閉まっているのが当たり前なのですが、この2組のご夫婦は、実は四六時中、扉を開けっぱなしにしていたのです。前日、チェックインして以降、天狗の湯に行くためには321号室の前を必ず通るのですが、常に扉は空いた状態でした。私が早朝4時に解放されるまでずっと空きっぱなしだったのです。にもかかわらず、朝になって閉まっているのです。やるせない思いです。

そこに偶然にも天使が現れました。「何やってんの?」すずさん(全身お絵描きで坊主頭の男性の奥様。広瀬すずさんを大人にした感じ)がお手洗いかどこかから戻ってきたのです。

私「あっ、おはようございます」

すず「どうしたの?」

すずさん、着崩れた浴衣で寝ぼけた顔も素敵です。

私「いや、プールで集合写真撮るって聞いていたので、どうされるのかなと思いまして」

すず「酔っぱらいの戯言なんて聞き流していいのに。今はこんな状態だよ」

と言って、321号室の扉を開けられました。すずさん以外の3人がお見事というような川の字になって爆睡中でした。

すず「言った本人も覚えてないから気にしなくていいよ」

私「はぁ…」

少し肩を落としながら、私は自分の部屋に戻りました。ホッとしたというより、どこか残念な気持ちの方が強かったような気がします。北温泉という開放的な空間にいるということで、非日常的な出来事を求めている自分がいるのだと気づきました。

源泉を自分の目線で味わう

朝ごはんまではもう少し時間があります。昨日のチェックイン後に館内を何となく散策したのですが、玄関左にある扉の外には出ていなかったため、その外にある階段を上ってみることにしました。

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玄関左の光景。鈴緒の扉向こうの階段に上ってみる

扉は鍵がかかっていませんでした。扉から向こうは完全に土足のため、下駄箱に自分の靴を取りに行き、いざ苔むした階段を上ってみました。

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階段はほどよく苔が生えており、気を付けないとすってんころりんといってしまいます

滑らないように20段ほどの階段を上ると、右に折れて、なお階段です。さらに20段ほど登ると、頂上には温泉神社のような建物が見えます。

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階段頂上にある温泉神社です。扉に鈴緒があったので、まあ外には何があるのかは予想通りですね

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階段頂上の温泉神社

階段の頂上に着き、後ろを振り返ると、眼下には見事なまでの光景。プール風呂が目の前に広がっています。

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階段頂上の温泉神社から望む光景。プール風呂が望める

この階段頂上からは、ザザーと滝のような音が聞こえます。そう、山肌を流れ落ちる源泉が近くにあるのです。温泉神社の右手に回ると、北温泉の源泉が姿を見せました。一説には奈良時代に発見されたいう伝えを聞いたことがあります。1000年以上もの間、枯れることなく地下から湧きだし、山の中腹もしくは頂上付近からあふれ出し続けているということなのでしょうか。山肌を削って自ら道を作り、麓に流れ落ちる地点に天狗の湯をこしらえたのでしょう。自分の目線で流れ落ちる源泉は、生きた温泉そのもので、どこか獣のような雰囲気を醸し出していると感じました。湯気と轟を上げ、少し怒っているようにも見えました。

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階段頂上の温泉神社右手から見える源泉