温泉巡りの醍醐味が詰まった「北温泉」初探訪記②初日は大出館宿泊編
ワクワクドキドキ!2泊3日の栃木県温泉巡りが幕を開けた
2015年11月19日(木)、名古屋からの業務出張で栃木県に入り、16時に宇都宮にある事業所で無事、業務終了。その後、トヨタレンタカー宇都宮駅西口店に足を運びました。これから初めての栃木県温泉巡りとなるわけですが、如何せん、この時はまだスーツ姿。どこか違和感があるのですが、わざわざ着替えるのも時間がもったいないので、スーツ姿のままレンタカーを走らせ、この日の宿泊先である「塩原元湯温泉 大出館」に向かうことにしました。
Googleマップ上、宇都宮駅から大出館までは、距離にして74km、時間は約90分かかるとのことで、ギリギリ夕食に間に合うかどうかといったところです。これから始まる温泉巡りにワクワクするのと同時に、初めて見知らぬ土地を、しかもマイカーではなく不慣れなレンタカーで走るというのは、少しばかり気後れするものであり、そういった点でドキドキもしていました。
まずは、作新学院とご対面
出発して間もなく、心躍る校門の表札が目に入りました。「作新学院高等学校」です。昭和の怪物、江川卓さんの母校です。私の父親は、「江川は高校時代が一番すごかった。高校時代の江川がそのままプロに行っていたら、とんでもない成績を残していた」と言っています。私の父親だけでなく、そのように思っている人って結構多そうな気がします。
作新学院高等学校は、この温泉巡りの翌年である2016年、高校野球夏の甲子園で全国制覇を果たしました。私は大阪生まれ大阪育ちということもあり、一昔前はPL学園、今は大阪桐蔭、それに加えて関西の雄、智弁和歌山を応援しているのですが、2016年はその校舎と初めて対面した翌年ということもあり、作新学院も応援していました。その甲斐あり、全国制覇したものということにしておきます。
元湯温泉入口からの山道。本当にこの道で合っていますか?
東北自動車道を宇都宮インターから乗り、西那須野塩原インターで降り、国道400号線を北上します。このころはすでに外は真っ暗になっており、初めての道で周りを見る余裕がないこともあり、塩原の温泉街を楽しみながらドライブするということはできませんでした。
国道400号線も元湯温泉入口までたどり着き、いよいよ元湯温泉方面へ左折、山道を登ります。電灯が全くありません。すなわち、真っ暗闇です。「11月中旬は、寒くなると雪が積もることがある」と電話予約の際に若女将さんから忠告があり、リスクヘッジで四輪駆動のレンタカーにしましたが、幸い雪は積もっていませんでした。しかし、いつでもクマなどの獣が出てきそうな真っ暗闇の細道です。夜はあまり走らない方がよさそうです。
ハイビームとロービームを交互に駆使し、恐る恐る前へ進みました。上り坂なので、道路状況がよく見えません。いつ脱輪してもおかしくないような状況だったと思います。脱輪したら、獣たちの餌食だったのでしょうか。国道400号線のふもとから宿までは約4kmとのことですが、おそらく、これまでの人生で最も長く感じた4kmの運転だったと思います。この4kmの間に、何回「本当にこの道で合っているのか?」と思ったことでしょう。大げさに書いているようですが、あの山道を真っ暗な中、初めて走行する者の感想としては、これくらいの感想がちょうど適切だと思います。
大出館到着!ご褒美は、硫黄の香ばしい香り
ようやく塩原元湯温泉大出館に到着しました。時刻は18時ころです。車のドアを開けると、ふわーっと硫黄の香ばしい香りが漂ってきました。来た来た来た来た!って感じです。玄関ではまず恒例の記念写真を一枚パシャリ。右から読んだら「おおいでかん」、左から読んだら「かんいでおお」となっています。
チェックインは若女将さんが対応してくれました。ネット上のどこかでべっぴんだというのを拝見したことがあり、実際その通りでした。チェックアウトの際に、記念にツーショット写真を撮らせてもらったのですが、私が温泉巡り用の古ぼけた服装だったのが悔やまれます。せっかくスーツがあったのですから、それに着替えて撮影させてもらったらよかったと後悔しています。ということで、その写真をここに掲載するのは遠慮しておきます。
何はともあれ、玄関もロビーも硫黄のにおいが充満しており、期待が膨らむばかりのチェックインでした。
先にお食事にしますか?それともお風呂にしますか?
チェックインが18時を過ぎていたので、若女将さんから「先にお食事にしますか?それともお風呂にしますか?」と新婚夫婦のような問いかけがあり、もちろんこのような言い方ではなく、ただ単に、もう遅いから温泉入る前に夕食を先に食べませんか?ということだと捉えたのですが、その結果、ほどなくして夕食を取ることになりました。
部屋は、ごく普通の温泉旅館の部屋です。しかし、硫黄臭が充満しており、この宿ならではの趣深さです。温泉とのご対面が楽しみで仕方がありません。
館内に充満する硫黄臭は、様々な設備をダメにしているとのことです。
大出館滞在中、私はモロに上記説明書きの影響を受けました。部屋の暖房が起動しなくなったのです。スタッフの方に調べてもらったのですが、うんともすんとも言わずじまい。この時は11月下旬。寒いが耐えれないこともないくらいだったと思います。しかし、ここは温泉宿です。部屋にいて寒いくらいならば、温泉に浸かっていればいいということで、結果的に暖房の故障は、温泉に長時間入浴するきっかけとなりました。
さて、夕食です。今回の栃木県温泉巡りの宿泊先は、食事面を全く考慮せずに選択しました。にもかかわらず、大出館の食事は大変満足のいくものでした。オーソドックスな旅館飯でしたが、ボリュームよし、お肉よし、土瓶蒸しよし、お味よし。本当においしくいただくことができました。夕食も翌朝の朝ごはんも部屋食だったのですが、普段から大出館は部屋食なのでしょうか?実は、私は部屋食よりも大広間での食事の方が好きなのです。食事する場所と寝る場所を分けたいというわがままな気質なのです。
夜はすべて貸し切り状態!栃木の温泉ってこんなに濃厚でエグイのか!?
この日は平日の木曜日。玄関に歓迎客として記載されていた宿泊客は6組。うち1組は10名以上の団体客。こうした状況でしたが、夜は、常に独泉で温泉を満喫できました。
私が入浴した浴槽の数は全部で5つです。五色の湯貸切風呂、御所の湯内湯・露天風呂、墨の湯併設の五色の湯、そして、墨の湯です。とにもかくにも墨の湯にお目にかかるために、私はこの大出館に宿泊することにしたのです。
まずは五色の湯や御所の湯の硫黄泉の感想です。私の肌感覚で恐縮なのですが、大出館の硫黄泉は、硫黄濃度が全国一と称する万座温泉よりも濃厚だと感じました。最初に入ったのは五色の湯貸切風呂であったのですが、体を沈めたとたん、「これはやばい」と素直に思いました。この翌日に、この栃木県温泉巡りの最後に入浴する温泉も硫黄成分が濃厚であり、大出館とその温泉が決め手となり、栃木の温泉はエグイという印象を私に植え付けることになったのです。このエグイはもちろん、最上級に値する称賛の表現であります。
浴場はすべて、最下層の1階にあり、3階にあるロビーから二つ下がったフロアにあります。私が宿泊した部屋は2階でしたが、それにもかかわらず、部屋にいても硫黄臭が強く感じられました。
こちらが五色の湯貸切風呂です。浴室は閉じられた空間のようになっており、貸切感を演出しているように思いました。閉じられた空間ゆえ、浴室内の硫黄臭もより強く感じられたと記憶しています。夜で日が当たらずわかりづらいですが、湯の色はエメラルドグリーンです。万座温泉や白骨温泉、酸ヶ湯のようなミルキーブルーではありません。
続いて入浴したのは、御所の湯の内湯。五色の湯貸切風呂との違いは、まだまだ素人に毛が生えたレベルの知識しかない私ではわかりませんでした。
夕食をたらふくいただき、五色の湯貸切風呂、御所の湯と回り、私の体はこの時点ですでにヘロヘロです。一旦部屋に戻り、休憩することにしました。部屋の暖房が故障し、部屋が少し寒いことは、全く気にならないどころか少し寒いくらいがありがたく感じました。
30ほど休憩し、いよいよ墨の湯へ向かいます。
こちらが墨の湯です。栃木の温泉を調べてから恋焦がれた温泉です。実物を自分の目で確認しましたが、期待通り、高貴で厳かな雰囲気を醸し出す空間でした。
墨の湯自体は、微鉄臭という感じですが、五色の湯が隣接しているため浴室自体は硫黄臭が充満しています。
2015年11月19日21:30の墨の湯の温度は40℃。いつまでも入っていられる適温でした。一人でのんびりと1時間ほど満喫させていただきました。
鉄分の多い温泉は、一般的には有馬温泉のように酸化して錆びたら赤褐色に変色するのだが、大出館の場合は不思議な化学反応を起こし、黒色に変色するのだそうです。すなわち、墨の湯が黒いのは、鉄の錆びということです。