2020年初の温泉巡り:下呂温泉編

2020年6月20・21日と、私は今年初の温泉巡りに出かけました。この模様を、導入編、下呂温泉編、白骨温泉編、奥飛騨温泉編、湧き水番外編に分けて記します。
今回は、下呂温泉編です。

下呂温泉は「日本三名泉」の一角

下呂温泉は、岐阜県下呂市にあり、群馬県草津温泉兵庫県有馬温泉と並び「日本三名泉」に数えられる温泉です。草津温泉は泉質・湧出量ともに申し分ありませんが、下呂温泉有馬温泉はその規模に比べて湧出量は完全に不足していると私は思っていますし、大半の宿が温泉を循環使用していることからも湧出量不足は明らかです。三名泉の定義って何なんでしょうね。

下呂温泉の評価が今一つな理由。私見ですが…

さて、下呂温泉は、旅行会社や雑誌が執り行う温泉ランキングでは、比較的上位にランキングされることが多い温泉地です。温泉旅館や組合が宣伝広告に頑張っているためでしょうか、はたまた温泉以外のところでの評価が高いためでしょうか。

一方、温泉に造詣が深い方々からの評価はいま一つのような気がします。先ほども書きましたが、下呂温泉はその規模に比べて湧出量がはるかに少なく、泉源の近くにある「松園」や「幸の湯」など数か所の施設以外はすべて集中タンクから配湯されます。各施設に行き渡る温泉の量が大変少ないため、循環使用せざるを得ない状況なのです。循環してしまうと、当然、塩素系消毒剤も大量に投入されます。そしたら完全に湯は死んでしまい、温泉といえるものではなくなります。つまり、下呂温泉を支える数多の温泉旅館の浴槽では、本来の下呂温泉の魅力を味わうことができないのです。実際、私は、これまでに下呂温泉にある有名旅館のほとんどの浴槽に浸かりましたが、どこも塩素臭が大変強く、あたかもスーパー銭湯のような湯であると感じました。本来の下呂温泉の湯は、そこにはありませんでした。

もちろん下呂温泉には、温泉の泉質以外に魅力を感じてお見えになるお客さんもたくさんいらっしゃると思います。食事であったり豪華な宿であったり風景であったり温泉街であったりプリンであったりニューハーフショーであったり。人によって価値観はさまざまであるということは重々承知しているということを、念のため、記しておきます。

下呂温泉は「噴泉池」一択

それならば、本来の下呂温泉の湯をどこで堪能したらいいのか?先ほど挙げた「松園」や「幸の湯」で入浴する手もありますが、私にとっては、「噴泉池」一択です。

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混浴、更衣室なしでも女性におすすめ

噴泉池とは、下呂温泉街を流れる飛騨川の河原にある無料の公共露天風呂です。当然、源泉かけ流しです。石で囲われた露天風呂が一つしかないため混浴です。近くの橋の上からはモロ見えです。入浴するには水着着用義務がありますが、更衣室がないため、女性には厳しい環境です。それでも本物の下呂温泉を堪能したいのであれば、女性であっても噴泉池をおすすめします。

噴泉池でせせらぎと星空と天然ローションを堪能

噴泉池をおすすめする理由、それは、せせらぎと星空と天然ローションです。

せせらぎとは、目の前を流れる幅広の飛騨川の水が流れる音がとても心地よく癒されるのです。

星空とは、露天風呂のため、晴れの日に夜空を見上げると満開の星空が広がっているのです。

天然ローションとは、下呂温泉ならではの泉質の威力を感じられるのです。入浴後、ふき取ることなく自然乾燥させた後、関節を曲げ伸ばしすると、パリパリっと糊がはがれるような感触があります。とろみのあるアルカリ性単純温泉が肌にしっとりとまとわりついているのを実感できるのです。まさしく、天然の化粧水、天然ローションです。ほのかな硫黄臭も感じられます。鳴子温泉の琢秀やしんとろの湯ほどのとろみまではいきませんが、それでも、それらの継子レベルにはあると思います。つまり、下呂温泉は、栗花落カナヲということになります。

噴泉池に入浴するならやっぱり夜

私は、今回の温泉巡りで、下呂温泉に2回立ち寄りました。6月20日の22:30~25:00と6月21日の19:30~20:00です。どちらも夜に立ち寄り噴泉池に入りましたが、やはり噴泉池は夜が最適だと思います。

街灯も少なく薄暗いため、人目があまり気になりません。さらに、そもそも夜は人通りが少ないです。人通りが少ないので、飛騨川のせせらぎも鮮明に聞こえます。

綺麗な星空も眺めることができます。6月20日は北斗七星が鮮明でした。私の住む名古屋では北斗七星のちょうど真ん中の星が見えないことが多いのですが、噴泉池からは鮮明に見ることができました。空気が澄んでいるのでしょう。この日の昼間は下呂温泉でも30℃を超えていましたが、夜は20℃を下回っていました。下呂の夜は涼しくなるのです。噴泉池の入浴をより気持ちよくしてくれます。

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噴泉池から川向うを撮影。建物は小川屋

噴泉池はコミュニケーションも深まります

このご時世、密を避けなければなりませんが、噴泉池は自然とコミュニケーションが深まります。6月20日は、地元の常連さんを中心に、10人ほどの人と会話を楽しみました。6月21日は、下呂温泉の大型旅館で働く6人のネパール人との会話が弾みました。彼らの働く旅館は6月いっぱい休館とのことです。コロナ禍の影響をモロに受けた格好ですが、皆、陽気で元気そうでした。7月から営業再開するとのことですので、忙しくなることを祈っております。

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下呂温泉街は浴衣を着たたくさんのカップルが散策していた